systematic/structural (今すぐ不意を打て!今すぐに!)
今、3日後に行われるプチ豪華*1セミナーのアブストに目を通しながらふと思ったのですが
どうも、網羅的、という言葉の指す対象は二つあるんじゃないかと。
縦方向と、横方向に。
この前、システムバイオロジーのかなり名の通った先生の講演を聞いた時に抱いた違和感は、「網羅的」の方向性が違ったからかもしれないです。
- あれはさまざまなスケールでの「ある一つの現象とそれに関わる因子の理解」、いわば縦方向の話で、自分が普段考えている/手を動かしているのは横方向(スケールが固定、ある軸にそって対象を広くとる)の話。もちろんどちらを縦に取るかは自由。
- そして今度のセミナーの人も「横方向」の人。横方向を維持したまま、縦方向にも行くためにはどうするか、といった話が聞けるはず。気分は出来るだけ長い鉄棒を持って階段を駆け上がるような感じ(謎な比喩)。
- 違和感の心配は多分要らない。問題は、どこまで共感できるか、線を引けるか。
ちなみに、この手の「言葉の上では/一見すると似ているけれども、実は方向性が違う」ものの持つ違和感にはちょくちょく引っかかります。
- ライフサイエンス統合DBプロジェクトの中に乗り込んできた - ミームの死骸を待ちながらを見て、また思い出すあれやこれや。
- 一瞬思ったこと:実験屋さんにツール知識をたたき込むか、実験室に一人バイオインフォ相談役的SEを置くか。後者が流行ると食いっぱぐれないな>自分。あと、ツールの乱立&放置は、ちょっと手間かけて一個作ると論文になるのに、莫大なコストでもって維持しても論文にならないからだと思う(かなりの極論/維持するのには専門の人(not研究職、but専門知識を持った人)が必要だけどもなんとかかんとか(長いので記述放棄))
で、上のエントリを読んだリアクションとして今から書くものは、基本的に過去の日記からの引用です。
言うべきことはもう結構言ったんだな、自分。
- これを「思考の硬直化」という表現に仕立て上げると途端に恐ろしくなる。
- いつか過去の自分の日記を引用して突っ込み入れるだけの月間とかも試してみたい。
unexpected - へぴゅーNT/というわけで(ry
- 物事のきらびやかな面…つまりは大切さ/面白さ/すごさで釣られた人間は、その(多くは本来よりも強調された)輝きがくすみ出すや否や、あっという間にそっぽを向くのでは。
- また別の見方として、どんなにきれい/凄い/面白い/格好いいオブジェを作り出して置いたところで、それを見た人間が「ああ、きれい/凄い/面白い/格好いいなあ」と感想を漏らして終わりでは、娯楽以上の役目は果たせない、とも。
↑もともとは理科教育についての現状を嘆く文章に賛同して書かれたものですが、まあ何にでもあてはまるよね、と。
- 分野は全くかぶらないけれど、この引用エントリを書くにあたって元ネタとした本川先生の考え(http://www.motokawa.bio.titech.ac.jp/professor.html)は実に自分と近い。
2.バイオインフォマティクスはどうやら「理学系」と「工学系」に分類されるらしい。前者は主に生物物理に棲息していて、後者は主にGIW (Genome Informatics Workshop)に棲息しているらしい。
cognate - へぴゅーNT/というわけで(ry
- 前者は理学であって工学ではないので、いわゆるバイオインフォマティクスによくある「実験家に役に立つツール」の事なんて実はあまり考えていないかもしれないらしい。
- もっと言うと前者はインフォマティクスである必然性なんて感じていないかもしれないらしい。解析に使えるものなら情報学に限らず何でも使えばいいじゃんと思ってる人もいるらしい。
- 前者には物理出身の人が多いように思われるらしい。
- でもって、普通バイオインフォマティクスと言われると後者が主流なので、前者は滅ぼされやしないか冷や冷やしているかもしれないらしい。
- 加えて、「バイオインフォマティクスやってます」というと即座に後者と思われてしまうので、前者の人々は自分たちをどう表現すべきか悩むときもあったりもするらしい。
- 悩みながら雑談した結果、「理学」と「工学」という区分が提案されたらしい(in 昨日の雑談)。
- 「らしい」を多用することで、断言と明言を避けているらしい。
- 今度から何か言われたら「いや、自分は理学系バイオインフォなんで」って言ってみよう(謎/胡散臭さがアップ!)
↑これまで何度も繰り返してきた「バイオインフォって何、何をしているのか*2」話の中で一番ちゃんと書いているもの。
- 先日あった、あるバイオインフォな方から「バイオインフォとは役に立つアルゴリズムやツールを作ることだ!*3だから自分はかくかくしかじか」とほぼ開口一番言われて、いつもなら「まあそういう見方もできますね」くらいは言えるはずの自分が、向こうの勢いの凄さについつられて「いやそれは違うッ!」と全力で否定してしまった、そんなやり取りもこの引用エントリを踏まえれば「当然起こること」。
今日もまた別のことでわだかまっていたのですが、結局のところ
シンセティック・エヴォリューション - へぴゅーNT/というわけで(ry
「科学は工学じゃないよ?」
という当たり前の結論を得て解消しました。
↑合成生物学についての感想より。感想以上のものはない。
あと、元エントリに書かれている「オープン」という単語ですが…
実は昨日、そのオープンについてまわる「しんどさ」について研究室にてあれやこれやと雑談したのですが長くなるので後日。
- 材料も道具もすべてがオープンでお手軽に手に入るとき、そこはアイデアと手の速度がすべての世界。コロンブスの卵をひたすら高速で繰り出し続けなければ生きていけない世界、など。別段目新しい話ではなく。
- で、自分が今いるところはそういう気配に満ちているわけで(ry(だから雑談の話題にもなるわけで)
このタイミングで書くべきか迷う追記1:
この前某生命科学夏の学校で、とあるMD(分子動力学シミュレーション)の人が物凄い勢いで
「MDはバイオインフォじゃねえぇ!!」
とか叫びながら、名札に貼る分野シールで金色の「生物物理」シールをつかみ取ってたよ。口調とか誇張あるけど内容は事実だよ。
- ちなみにバイオインフォはピンクでした。自分はピンクと金の2枚貼り(後者は所属学会の分+ピュアな情報系じゃないよアピール)
このタイミングで書くべきか迷う追記2:
今度とある若手の会が
「実験屋とシミュレーション屋の邂逅」
って名前の1日セミナーをやるみたいなんだけど、
正直興味持っても自分がどっちにも入らないから困るよ。
- 実験屋とデータベース屋の邂逅とかにすると行けるけど、ひとたび間違えるとただのデータベース講習会っぽくなりそうな…。
というわけで(ry