prevail
いつもの年末更新
気づいたらこのブログも今年の10月末で20周年だったのですが、何か特別な記事を書こう書こうと思っているうちに年末になってしまったので普通に恒例の年末エントリを投下します。
- 今年はいつもの社会人学生ネタとは違う、科学とLLMについてのアドベントカレンダーに寄稿したので、まずはその記事をここに置いておくなど。内容は自分の専門であるAlphaFold2が降ってきたときの感想と今後の展望→ https://mbr-br.tumblr.com/post/770591149117390848/
- このサブブログ(?)は一応このブログのサイドバーにリンクを置いているのだけど、スマホで見ると見えないかもしれなくて誰も気づいていない気もするので宣伝もかねて。
- (2025年1月1日2:17AM追記) どうやら知らないうちにはてなブックマークでも話題になっていたらしい。自分でもブックマークコメントをつけたが、AIは利用しているし(下記参照)問題を解かれたら次に行くしかないのはそうなのだけど、外からの完全な不意打ちと速度がやばかったのでほとんどの研究者は受け身を取ることができなかったのがポイントで、次に行く前に爆速で分野が進歩するので土砂崩れという表現を使っている。
- どうやらXにてAI界隈で著名な方に少し取り上げて頂いたようで、リポストやLikeの数に少し驚いた。SNSやブログでせっせと発信することを辞めて久しい*1ので、ひさしぶりの感覚にちょっと平静を失いそうになった。
- 引用リツイート(リポスト)のひとつに、これは雑記であるという指摘があった。それは全くその通りなのだけども、今後AIが科学を推し進めるのであれば、人間の研究者が人間として発信すべき部分は(研究の中身や知識ではなくて)そうした雑記の部分にあるとも思っている。
- 実は今年の中頃?に、所属学会の学会誌の編集後記に持ち回りで寄稿せねばならなかったので、イニシャルしか出ないことを良いことにそんなようなことを書いた。
- 研究の中身はAIが論文を要約して説明してくれる時代に、人間が書けるものは研究を進める過程でしか知りえない人間の感情だけだと思っている。これは、理工系研究がAIで代替されうる時代には人文・社会科学が優勢になるのではないか、という予想と似ている。
まずは年末らしい一年のまとめを述べておくと、この一つ前こと昨年の年末エントリには、自分が(まだまだ本業では低調ながら)にわかAI驚き屋と化したことを書きましたが、今年はそのAI驚き屋ムーブが本業方向へ結実し、これまで自分が獲得したことがないレベルの研究費*2を得ることができました。とんでもねえ。
- しかも研究題目にAIって入ってるので、これで自分もAI研究者!(にわかここに極まれり)
- 一方、自分の研究分野にAIという隕石を盛大にぶつけてきた張本人ことDeepMindの二人はなんと今年ノーベル化学賞を受賞。そんでもって、AIをぶつけられて大ダメージを食らったのちに急激にAIに転向した大御所ことDavid Bakerも一緒にノーベル化学賞を受賞。そういう意味ではこの大御所もAIにわかではある(もちろん、この大御所はAIに殴られる前の成果+ここ20年くらいの別の成果での受賞なので、にわか受賞ではない)
- こうやって並べて書くと、これまでの業績に応じたAIボーナスが振り込まれたみたいな感じに見えてちょっとおもしろい。
ただ、こうして驚き屋をやるにしてもブログで発言するにしても、お前がやるんかい的な誹りを受けそうだなあとも思っているので、多少の躊躇は常にあります。
- いや、自分は間違いなく学生の時分からこの分野に存在しているし、国内では分野の中ではそれほど知名度がないわけでもない(※分野が小さいのでみんながみんな顔見知りなだけともいう)のだけど、こう、分野の端っこの方でなんとなくたそがれているタイプというか、ちまちまデータ見てるだけの研究者で最新技術でブイブイ言わせるようなタイプではなかったので、突然前に出てきて何だお前と言われそうだなと勝手に心配していたり。
- 正直、自分がなぜこの瞬間AIに覚醒したのか、突然走り出したのかは自分でもよくわからない。ただ、昨年も書いた通りCS学士取得+修士入学と重なって、時が満ちた感覚はある。今回は(たぶんこのブログで初めて)自分の専門分野にも言及したのでその観点でもう少し言えば、自分が学生としてこの分野に来てからの20年くらい分野がずっと停滞していたので、前進のためのエネルギーを十分すぎるくらい溜め込んでいたのもある。
- 停滞する前の速度もそれほど速くない(90年代にしては悪くない速度だっただろうけども)ので、分野の多くの人はこの速度を想定していない気がする。それが(実はもともとこの分野の研究対象が好きではなかった=この分野になじまない存在だった)自分だけが大声をあげている主原因な気がする。
- 正直、自分がなぜこの瞬間AIに覚醒したのか、突然走り出したのかは自分でもよくわからない。ただ、昨年も書いた通りCS学士取得+修士入学と重なって、時が満ちた感覚はある。今回は(たぶんこのブログで初めて)自分の専門分野にも言及したのでその観点でもう少し言えば、自分が学生としてこの分野に来てからの20年くらい分野がずっと停滞していたので、前進のためのエネルギーを十分すぎるくらい溜め込んでいたのもある。
それから、今年は個別にエントリ書きませんでしたが、オンライン大学院ことOMSCSも継続しています。
- 春学期にNetwork Science(NetSci)、秋学期にRobotics: AI Techniques(RAIT)。夏学期はAI Ethics & Societyを履修登録したものの、1週目の課題がつまらなすぎて授業料を払うのを忘れてDropという失態を犯したり。NetSciは専門に近かったんで知識が増えてうれしい感じ(しかし1年たった今となっては結構忘れてる…)、RAITは純粋に知らないことだらけで新しい視点がおもしろかった。どちらも講義自体の評判がかなりよいのと、自分にとってストレスになりがちなポイントが少なかった(GradeScopeの回数制限がないとか、Examがない or 2回受けられるとか)ので快適でした。課題は大変だったけど…(特にRAIT)。
- 来期はとうとう評判が絶望的なMachine Learningを取る予定。しかし丁寧にReviewを読むと、要は(実装重視でなく)論文っぽいものを書かせるのが嫌&(明確なRubricでなく)論文の内容で成績が付くのが嫌だというのが散見されるので、これはむしろ自分には有利というか、自分が取らないとダメな気がしている。
一応、毎年やっている年末同期忘年会(オンライン)の記録もつけておくと、今年は既婚組の一人が離婚してたのが最大のニュースでした。
- その家族構成&理由で離婚するか?って感じの展開で、他の既婚組はお通夜みたいな態度になるなど*3。自分はなぜか持っていたチンアナゴぬいぐるみ*4を振り回して励ました(励ましてたか?)
- 離婚理由が不明すぎて個人的にお相手の人を詰めに行きたくなるなど。他人のことなんだから放っておきましょう(自制)
- 理由を聞いて、なんかそれってもしかして…なことを思ったけど言わず。多分この予感が当たったら数年後にわかるはずなのでその時どや顔します。
- ちなみにこの知人は昨年の忘年会でフラグっぽいものを立てていた。でもそれをフラグだと思ったのは自分だけらしい。いやでもあれはどう見てもフラグだろ…。
- 「〇〇(他人が経験した何らかの困難)には自分は縁がなかったな」「この生活がずっと続くんだろうな」はフラグなので口にしては駄目ですよ!いや本当に!
- 「『今の生活がずっと続くかも』って…明日AIが攻めてくるかもしれないだろ!」(AIが唐突に所属分野を直撃した人間の迫真のコメント)
- 「〇〇(他人が経験した何らかの困難)には自分は縁がなかったな」「この生活がずっと続くんだろうな」はフラグなので口にしては駄目ですよ!いや本当に!
来年ですが、今年獲得した研究費の関係でまた長期で海外に出たりこまめに成果報告を要求されたりする予定なので、驚き屋(2023)→予算取り(2024)→形あるものを発表(2025)と進化出来たらこれ以上のことはないです。これが完全に理想形。
- 別に凄い成果をあげれなくてもいいので、ちゃんとやりたい。上のサブブログの追記で書いた通り、自分の分野は徐々に崩壊しつつあるし自分という人間の専門性もAIに奪われつつあるので、自分が人間として研究できる最後の5年だか10年だかを無駄にしたくない。何かを成し遂げたいなんて大層なことは望まないから、最後まで研究者として生きて死なせてほしい。
というわけで(ry